【2025年最新版】個人事業主・フリーランスのための妊娠・出産・育児期にもらえるお金と公的支援制度

個人事業主やフリーランスとして働く女性が、妊娠や出産・子育てを考えたとき、「公的な支援はどのくらい受けられるのか?」と不安に感じることも多いと思います。会社員に比べ支援制度が十分ではなく、出産手当金や育児休業給付金のような所得補償はありません。しかし、多様な働き方と子育ての両立支援が求められる今、個人事業主やフリーランスに向けた支援制度が、順次、拡大されつつある状況です。

本記事では、妊娠・出産・育児期に個人事業主が利用できる制度やお金に関する最新情報を整理してご紹介します。あわせて、筆者自身が個人事業主として2度の出産を経験した中で活用した制度や工夫もご紹介します。「最新情報を知りたい」「実体験も参考にしたい」という方の参考になれば幸いです。

目次

妊娠・出産期にもらえるお金・使える制度

出産育児一時金(出産費用として)

妊娠4か月以降に出産した場合、健康保険や国民健康保険に加入していれば「出産育児一時金」を受け取ることができます。出産にかかる費用の負担を軽くするための給付で、2025年4月現在の支給額は1人あたり50万円です。双子など複数の子を出産した場合は、その人数分が支給されます。

多くの医療機関では、出産育児一時金を直接医療機関に支払う「直接支払制度」を導入しています。この制度を利用すると、出産費用が50万円を超えた場合のみ、超過分だけを自己負担すればよくなり、まとまった支払いをせずに済みます。ただし、対応していない医療機関もあるため、事前に確認しておきましょう。

なお、出産費用が50万円未満だった場合は、申請により差額分を受け取ることができます。

妊婦健診の公費補助

妊婦健診にかかる費用の一部を自治体が補助してくれる制度です。妊娠が確定したあと、自治体の窓口に妊娠届を提出すると、母子手帳と一緒に「妊婦健診受診券(補助券)」が交付され、健診ごとに使用します。

補助の回数や金額は自治体によって異なりますが、多くの場合、妊婦健診費用の大部分がこの妊婦健診受診券によってカバーされます。妊婦健診受診券ごとに金額が設定されており、その金額を超えた分は自己負担となりますが、経済的な負担を大きく軽減する制度です。

国民年金保険料の免除(出産前後4か月間) 2026年10月からは「1歳まで」に延長!

出産予定日の前月から4か月間の国民年金保険料が免除されます。(双子など多胎妊娠の場合は出産予定日の3カ月前から6カ月間が免除)
この4か月間は就労の有無にかかわらず免除が受けられ、保険料を納めた期間として取扱われるため、年金受給額が減ることはありません。手続きは出産予定日の6か月前から、ご自身で市区町村へ申請する必要があります。

ただし、4か月を超えて仕事を休んでも、免除期間が延長されることはなく、これは子どもが1歳(最長3歳)になるまで免除制度のある会社員より短い期間となっています。

そこで、2026年10月以降は、個人事業主・フリーランスにおいても、国民年金保険料の免除期間が「子どもが1歳になるまで」に延長されます。これは子どもを養育する国民年金第1号被保険者であれば、父母(養父母を含む)とも対象になります。また、子を出産後の育児期間における働き方や所得の状況はさまざまであることから、保険料免除に所得要件や休業要件は設けられないこととされています。

参考リンク
産前産後期間の届出をすると…4か月分の国民年金保険料の納付が免除され、納付したものとして年金額に反映されます!
国民年金第1号被保険者の育児期間の保険料免除措置について

国民健康保険料の免除(出産前後4か月間) ※2024年1月からスタート!

国民健康保険料についても、2024年1月から国民年金保険料と同様に、出産予定日の前月から4か月間(多胎妊娠の場合は6か月間)、保険料が免除される仕組みができました。

免除期間は現状、4か月(または6か月)を超えて延長されることはありません。手続きも国民年金と同様に、ご自身で市区町村に申請する必要があります。

参考リンク
産前産後期間の国民健康保険料の減免について(茨木市) (お住まいの自治体HPでご確認ください)

出産後・育児期に使える制度

児童手当 ※2024年10月から拡充!

児童手当は、子育て支援の一環として、児童を養育する保護者に支給される制度です。

2024年10月分から法改正により
子ども一人あたり、
0~3歳未満は月額15,000円3歳以上高校生年代までは月額10,000円(いずれも第3子以降は30,000円)
に拡充されました。

改正ポイントは下記4点です。
1.支給対象年齢の拡大
支給対象が「中学卒業まで」から「高校卒業まで」(18歳到達後の最初の3月末まで)に延長されます。
2.所得制限の撤廃
これまでの所得制限が廃止され、すべての子育て世帯が受給対象になります。
3.第3子以降の支給額を倍増
第3子以降の支給額が、月額15,000円から30,000円に引き上げられます。
4.支給回数の増加
年3回だった支給が、偶数月ごとの年6回に変更されます。

参考リンク 2024年10月分から児童手当が大幅拡充!対象となるかたは必ず申請を

子ども医療助成

子ども医療費助成は、子どもの医療費(保険診療の自己負担分)を軽減する制度です。個人事業主・フリーランスでも、子どもが国民健康保険に加入していれば助成を受けられます。ただし、所得制限がある自治体もあるため、その場合は世帯の所得によって受給できないことがあります。

助成対象年齢や条件は自治体によって異なります。
例えば、大阪府茨木市では18歳到達後最初の3月31日までの子どもが対象で、通院・入院に対し1日500円(1か月2日分)を自己負担し、それ以上は助成されます。また、助成金が全額無料の自治体もあります。
お住まいの自治体の情報を確認しましょう。

出産・子育て応援交付金(※名称は自治体ごとに異なります)

出産・子育て応援交付金は、妊婦や子育て家庭に対して、相談支援と経済的支援を一体で提供する制度で、全ての妊産婦・子育て家庭が安心して出産・子育てできるよう支援します。

この制度は、妊娠から育児(0歳〜2歳)の家庭に対し、身近な伴走型の相談支援を提供し、出産・育児の見通しを立てるための面談や情報提供を行います。経済的支援としては、妊娠届出時と出生届出時に、それぞれ5万円相当の「出産・子育てギフト」が支給されます。支給方法は自治体ごとに異なり、商品券や交通費助成、産後ケアサービスの利用料助成、現金給付などが含まれます。

相談支援と経済的支援を組み合わせることで、相談実施機関へのアクセスがしやすくなり、結果的に必要なサービスに確実に結びつき、事業の実効性が高まることが期待されています。
ギフトを受けるには所定の面談を受ける必要があり、詳細は自治体の窓口で確認してください。

実体験:こんなふうに制度を活用しました

医療費控除で出産費用の一部が還付された

私が第1子を出産した2022年当時、出産育児一時金は42万円でした。実際の出産費用はそれを10万円ほどオーバーしたので、確定申告で医療費控除を利用。自己負担が発生したことは経済的負担ではありましたが、その分少しでも節税につなげました。

医療費控除は、本人や家族、親族のために支払った年間の医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えた場合に、所得税の還付を受けることができる制度です。
妊婦健診や出産育児一時金があるとはいえ、それらを上回った自己負担分について、医療費控除を申請し、所得税の還付を受けることができます。

医療費控除の対象となるのは、以下のようなものがあります。

  • 診療または治療への支払い
  • 治療または療養に必要な医薬品の購入
  • 妊婦健診にかかった費用
  • 入院の食事代と部屋代
  • 分娩費
  • 通院のための交通費
  • タクシー代(公共の交通費を利用できない場合)
  • 産後1ヵ月健診
  • 不妊治療の費用
  • 無痛分娩(通常の分娩より出産費用は高くなりますが、対象になります。)

また、下記のケースにおける節税効果は・・・

  • 出産費用の合計:70万円
  • 出産育児一時金:50万円
  • 課税所得:500万円
  • 医療費控除額:70万円 – 50万円 – 10万円(基準額) = 10万円
  • 還付金:10万円 × 20% = 2万円

このように、2万円の節税効果となります。

余った出産育児一時金を申請し差額分を受給

第2子出産時は、出産育児一時金は50万円に増額。実際の出産費用は、帝王切開での分娩となり約43万円でしたので、市役所の国民健康保険の窓口で差額申請をし、後日約7万円を銀行口座にて受給することができました。

所得減による国民健康保険料の減免申請

たとえ妊娠・出産で仕事量が減り、所得が減ったとしても、4か月間の免除期間が終われば、基本的に前年の所得に基づいて算出された国民健康保険料を、その年の年度末まで納め続ける必要があります。会社員のように保険料の半額を会社が負担してくれているわけではないので、収入がない中での保険料の支払いは負担が大きいと感じる方が多いと思います。

私も出産に伴い所得が下がったため、自治体の減免制度を活用し、保険料を減額してもらいました。
私の自治体では、災害・失業・廃業・大幅な収入減など特別な事情がある場合の減免制度があり、妊娠・出産期の所得減も対象となり、申請をすることで減免を受けることができました。所得の減少幅に応じて保険料の減額幅が決定しますが、この制度が利用でき非常に助かりました。

減免の基準は自治体によって異なりますので、お住まいの自治体の減免基準や必要書類を確認してみてください。

まとめ

会社員に比べると制度面ではまだ課題もありますが、個人事業主・フリーランスの出産や育児を支える公的支援は、少しずつ充実してきています。たとえば、私が第一子を出産した2022年以降だけでも、出産育児一時金の増額や国民健康保険料の免除制度の新設、児童手当の拡充など、制度が着実に進化しています。

今後も頻繁に見直されることが予想されるため、最新情報を把握し、自分に必要な支援をタイミングよく活用することが大切です。申請や手続きは基本的に自身で行うことになるため、早めの情報収集と準備を心がけましょう。

なお、会社員からの独立を考えている方や、個人事業主で妊娠・出産を控えている方向けに妊娠・出産期の働き方やクライアントとの調整方法について、別記事で詳しく取り上げる予定です。今後の更新もぜひチェックしてみてください。

この記事を書いた人

京都府出身。同志社大学法学部を卒業後、コンサルティング会社(東証スタンダード上場)で企業の管理部門支援に携わり、人事労務の現場を経験。その後、金融関連会社(東証プライム上場)で営業職を経て、自分の知識や経験を社会に還元し、仕事もプライベートも諦めずに長く楽しく働ける環境をつくりたいとの思いから社労士の道へ。社労士事務所勤務を経て2020年7月に独立。二度の妊娠・出産を経て、現在2児の母。

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